==PHILOSOMA概論==
“PHILOSOMA”とは、ある生物固有の名称ではなく、生体システム又は、メカニズムの総称を指す。“PHILOSOMA”生体システムは、ゾエア期(zoea 幼体)、ファージ期(phage サナギ)、プラヌラ期(pulanula 成体)に大きく分かれる。
1.幼体ゾエア(zoea)は、特に活発に動きまわり、その範囲は陸上、水中、空中、宇宙とあらゆる空間で行動可能である。ゾエアは、成体プラヌラ(pulanula)から放出されるが、プラヌラ(pulanula)が持つ遺伝子によって形態や習性が異なり、現在約30種ほどの存在が確認されている。
2.ゾエア(zoea)は、自分のために捕食することはなく、“媒体”にガメトサイト遺伝子を移植するためだけに捕獲行動を起こす。
“媒体”とは、知的オブジェクトすべてを指し、それらが有機体であるか、無機物であるかは問わない。つまり、知能を持った生物も、AIを搭載した戦闘機も彼等にとっては、同じ“媒体”にすぎないのである。
遺伝子の移植を終えたゾエアは数日のうちに蒸発。ガメトサイトは、知的機能部に寄生し、やがてファージ(phage)期へと成長する。
3.ファージ(phage)期のフィロソマはゾエア(zoea)期と同等の機動力を持つが、特に無機物に寄生した場合は、原型物の特性をも兼ね備えた能力を発揮する。
ファージ(phage)期を終えたフィロソマ(PHILOSOMA)は脱皮して、プラヌラ(pulanula)へと進化する。
4.プラヌラ(pulanula)はやがて惑星中心部に着床し、惑星外角を形成していく。このとき分泌されたものが放電雲を生み、オーラ光を放つ。着床したプラヌラ(pulanula)は一見、無害のように見えるがこの群生化したプラヌラ(pulanula)こそ人類にとってかつてない恐怖を生むのであった……。
フィロソマ(PHILOSOMA)は老化することはなく、常に増殖進化するために捕獲行為をつづける。プラヌラ期に新たな知的オブジェクトを感知すると情報を元にターゲットにとって最も魅力的な物質(エサ)を生み出してしまうのである。
今回の場合それは『ε-1』という物質であった。『ε-1』を使ってフィロソマ(PHILOSOMA)は母星に人間を導き、住みやすいように酸素まで生み出した。このプラヌラ(pulanula)期の超常現象的能力は未だに解明されていない。
ある一定量の人間が集まると、フィロソマ(PHILOSOMA)は一気に捕獲を開始するためにプラヌラ(pulanula)からゾエア(zoea)を放出する。こうして捕獲と成長を繰り返しながら、惑星母体はやがて成熟期に入る。
成熟期に入った母体はプラヌラ(pulanula)から一体を選出し、ステロイドホルモン操作で特殊化ゾエア、すなわち巨大精嚢体ゾエア(MONERA)を誕生させる。精嚢体ゾエアは、母体中心核(卵子)と数年間交尾し、やがて受胎した惑星母体は新たな胎動を生む。